元警察本部警察官が教えます!

元警察本部警察官の管理人が警察についてあれこれ書いています。他にも法律、裁判、福祉等についても少々!

「警察にノルマは存在するの?」 元警察本部警察官が本音で教えます。

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1、警察にノルマはあるの?

「警察にノルマはあるの?」

多く見聞きする噂・疑問ですね。

 

 しかし、現職の警察官に質問しても

「ありません」

とか、曖昧に誤魔化すだけでイマイチわかりにくい返答。

 

 そこで、元警察本部警察官が、ネットで良く見掛ける警察のノルマに関して本音で語ります。

 

 結論から言うと、警察にノルマは存在します。

 

 

2、警察でのノルマの概要

<ボーナスのため?>

「ノルマを達成しないとボーナスに影響が出る」

との噂。

 これは嘘です。

 

 警察はノルマ達成をしても、しなくてもボーナスや給料には1円も変化はありません。

 そこは公務員なので、出来高給ではありません。

 考えれば当たり前のことですね。

 

 安定の給料なんて理由から公務員・警察官を目指す人がいるくらいなのに、そこに出来高給を疑うなんて、矛盾に気付きましょう。

 

 

<何のためにノルマ達成を目指す?>

 別にノルマを達成させなくても、給料に変化がないなら、何故ノルマを必死で達成しようとするのか?

 

 当然の疑問だと思います。

 その理由は簡単です。

 理由は大きく2つあります。

 

◎ 上司に怒られる

 一つ目は、上司に怒られるからです。

 単純ですね。

 誰だって、何歳になったって、怒られたくはないものです。

 しかも、自分の成長に繋がらないようなことなら尚更です。 

 

「ノルマを達成しろ!全然達成してないじゃないか!」

なんて叱責では成長できませんからね。

 

 課長によってはグラフ化して、皆に見えるように張り出します。

 そして、わざと皆の前で大声で叱責します。

 今じゃこんなことしたら普通はパワハラと言われますがやられます。

 それに何よりも、普通に感情的に嫌なモノです

 

 

◎ 休日が減る

 二つ目は、休日が減ることです。

 ノルマを達成していない場合、

「休日返上で検挙活動して来い!」

命令されます。

 

 誰だって休日は休みたいもので、それは警察官だって同じです。

 ましてや警察、特にノルマを課せられる地域課の勤務は最低24時間拘束が基本の勤務形態です。

 

 そんな勤務での休日返上はかなりキツイです。

 これとは別に緊急呼び出し等への対応もあるわけですからね。

 

 そのため、この休日返上で強制的に仕事をさせられるのを嫌がってノルマ達成のために必死になります。

 

 

3、交通取り締まり

 それではここからはもっと具体的にどんなノルマがあるのかを見て行きます。

 世間的にもまずイメージするのが、何と言っても交通取り締まりですよね。

 はい、交通取り締まりにノルマはあります。

 

 白切符何枚、青切符何枚、赤切符何枚とそれぞれにノルマがあります。

 

 【それぞれに】なので、

「赤切符の検挙が多ければ白切符の検挙は少なくても良い」

等とはなりません。

 

 案外白切符のノルマが年末まで未達成になりがちです。

 関連して、警察が隠れて取り締まりをすることもいつも問題視されます。

 

 隠れての取り締まりについての本音はこちら。

【隠れて交通取り締まりをする警察について、元警察本部警察官が本音で語ります】

 

 

4、職質・検挙

「職質ってノルマ達成のためにしつこいんでしょ?」

との疑問も多く見掛けます。

 

 残念。

 職質にノルマはありません。

 

 ノルマとしてあるのは、職質件数のノルマではなく、職質を端緒とした検挙の件数です。

 

 この部分に関しては少し詳しく説明していきます。

 

 

<職質件数は少ない方が高評価>

 意外に思う人がいるかもしれませんが、実は職質件数は少ない方が優秀との評価になり得ます。

 

 イメージしやすいように一つ質問です。

【職質件数が少なくて、検挙ノルマを達成している人】

【職質件数が多くて、検挙ノルマを達成している人】

どちらの方が、不審者を見極める目を持っていますか?

 

 もちろん、少ない職質件数で検挙件数が多い前者ですよね。

 後者は見極める目云々ではなく、

「数撃ちゃ当たる」

ですから、能力的に高いとは言えません。

 

 そのため、検挙に繋がっているなら、職質件数自体は少ない方が評価は高いんですね。

 

 検挙出来ていないのに、職質件数も少ないのは最低評価で論外となりますが。

 

 このことからも分かると思いますが、あくまで職質をキッカケに検挙しないと意味がないため、万引き等の通報で検挙してもノルマに計上は出来ません。

 

 一応評価の対象ではありますが、ノルマには関係ありませんので、通報によって検挙した件数が多くても休日出勤を逃れることは出来ません。

 

 もしも万引きや痴漢等、通報によって検挙になるような現場で警察官のやる気が薄く感じたら、そこにはこのような理由があり得ます。

 

 

 なお職質に関して、昔からずっと言われている

「職質は任意ですよね?」

問題についてはこちら。

 

【職質は法的に拒否できない! 職質の正しい知識教えます】

 

 なお、職質による検挙のノルマに関しては、強化月間が存在します。

 強化月間中は職質が業務の中心になります。

 

 そのため

「最近やけに職質が増えたな」

と感じたら、職質検挙の強化月間なのかもしれません。

 

 

5、その他

 地域課的には全く重視していないため、未達成でも、怒られたり、休日出勤をさせられることはありませんが、他にもノルマはあります。

 

<相談業務への対応>

 埼玉県桶川市で発生した通称:桶川ストーカー殺人事件

 この事件をキッカケに全国の警察組織には相談部署が創設されました。

 

 この相談係に相談すると、その場で対応策を教示します。

 その大半はパトロールの強化です。

 

「そのパトロールをキチンとしたのかどうか?」

このように、相談業務で教示した対応策をキチンと講じたかどうか?のノルマです。

 

 半年で一人10件くらいキチンと対応すれば表彰される感じです。

 

 

<鑑識活動>

 地域課の交番でも事件に臨場します。

 内容によっては被害届の受理や実況見分作成もします。

 

 その際、鑑識活動をするのが基本ですが、キチンと鑑識活動をしたかどうか?のノルマです。

 

 交番だと半年で10件くらい指紋等の資料を採取していれば表彰され得ます。

 ちなみに、現場叩き上げで本部に異動となった私は、指紋等の採取数ではなく、指紋等から直接検挙に結びついた件数が10件を超えていました。

 

 

<受験生の勧誘>

 警察官採用試験の受験生を勧誘するノルマです。

 採用募集期間中に勧誘した人が、1名以上実際に受験すること。

 受験した人が2名以上いたら表彰され得ます。

 

 どうやって勧誘したと判断するか?

 それは、手渡す受験申込書に、警察官の印鑑を押しておくことで判明します。

 

 そのため、交番や警察署で受験申込書を貰うと、その警察官の印鑑が押されています。

 それはコネ等の効果は一切ありません。

 単純に勧誘した警察官の実績を証明するための印鑑でしかありません。

 

 そのため、

「お世話になった警察官に恩返ししたいけど、どうしよう」

と悩んでいるなら、その警察官から受験票を貰って受験するのも一つの恩返しになります。

 

 その警察官の実績になりますので。

 

 

6、最後に

 今回は結構ぶっちゃけました。

 私は別に警察に対して良い感情を持っているわけではありません。

 そもそも未練があったり、警察好きなら退職しませんから、その辺りはご察し下さい。

 

 むしろ悪感情の方が強いのは事実です。

 その悪感情、対警察のために、退職後に法律家の勉強を始めたくらいですしね。

 

 しかし、真実ではない、警察に対しての悪感情から生まれたようなが広まっていくのを見るのは私としても気分が良いものではありません。

 

 そのため、現職の警察官ではここまでは言えないようなことも言いました。

 噂ではなく、真実を言っただけで、警察擁護の意思はないため、この真実によって警察への世間の感情が良くなるか、悪くなるかは知りませんし、興味もありません。

 

 私としては嘘が広まることが不快なだけです。

 どうせ広めるなら、嘘ではなく、本当のことを広めて下さい。

 

 

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