元警察本部警察官が教えます!

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ヤクザ・暴力団は法的にどんな組織?解体できないの?

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はじめに

 本記事は

「暴力団とは何か?」

「何故警察は暴力団と言う組織を早く解体しないの?」

等の疑問解決に少しでもお役に立てばと考えています。

 

 今までにない視点から見て行きますが、全体的に私個人の解釈による見解となっていますので、あらかじめご了承ください。

 

 

 

1、ヤクザ・暴力団等の呼び方

 ヤクザ、暴力団、任侠、極道、等々、呼び方は沢山ありますが、全部同じ存在です。

 

 社会のゴミとして見る呼び方か、仁義のある者と見る呼び方かの違いくらいで、同じ対象を呼ぶ際の呼び方です。

 

 そのため私は比較的中立的な暴力団と表現します。

 

 

2、法人

 日本には様々な組織・集団が存在し、法的に定義されています。

 代表例を示すなら、行政主体法人

 行政主体は都道府県、市区町村等のことです。

 

 法人は、組織そのものに人としての人格を与えたモノです。

 一番身近なところだと会社ですかね。

 

「会社が人ってどういうこと?意味があるの?」

と感じる人もいると思いますので、少しだけ説明します。

 

【会社の車】

【会社の経費】

 このような物が存在していませんか?

 では、ここでの【会社】って何ですか?

 

 ここでの会社とは法人格としての会社です。

 会社と言う人の車、会社と言う人の経費。

 

 そのため、その車は会社と言う人格の所有物であり、社長の車でも、事務方の車でもなく、会社の車なんですね。

 

 だから、個人が勝手に自由に乗りまわしてはいけません。

 個人が勝手に会社のお金を使ってはいけません。

 犯罪になります。

 

 他人のお金を無断で無理矢理使ったら犯罪ですよね?

 会社も人扱いなので、同じです。

 これを会社と言う人格を認めない場合、社長の車、社長のお金で会社を運営することになり得ます。

 

 すると、社長一人の判断で車やお金を使わせないことも可能になってしまいます。

 それこそブラック企業を促進しているような状態になってしまいます。

 

 他にも理由や目的はありますが、イメージとしては、このようなことです。

 

 このように、日本にある組織は一定の人格を認めることで、代表者個人ではなく、組織として動くことが可能になっています。

 

 

3、人格がない組織

 組織として動くためには法人格を得る必要があります。

 しかし、全ての組織に人格が認められるわけではありません。

 

 人格が認められていない組織を

【権利なき社団】

と呼びます。

 

 難しい呼び方ですが、イメージとしては同窓会です。

【○○小学校△年卒業同窓会】

 このような集まりに法人としての人格は認められません。

 

 同窓会所有の車なんて聞いたことはないですよね?

 もし同窓会と言う組織に人格があり、車を所持できるなら

「買い出しに誰か車出せる?」

なんてやり取りになりませんからね。

 

 人格が認められないと言っても同窓会と言う集まりは確かに存在します。

 しかし、【同窓会】としての人格はありませんので、同窓会として動く事は出来ません。

 

 このように同窓会と言う組織そのものには権利がないので、権利なき社団と呼びます。

 

 なお【社団】とは人の集まりのことですので、難しく考えないで下さい。

 

 

4、暴力団は法人?

 では、暴力団はどの組織になるのでしょうか?

 結論から言います。

 権利なき社団だと思います。

 

 暴力団と言う法人は存在しません。

 あれは同窓会等と同じように、有志で集まっているだけの集団です。

 

 暴力団と言う職業も認められていません。

 暴力団員と言うだけでは無職になります。

 

 同窓会も同じですよね?

 各自別々の生活があり、同窓会と言う職業ではありません。

 有志で集まり、活動をします。

 

 

5、暴力団と同窓会

 ではここからが本題です。

「何故警察は暴力団を問答無用で解体しないのか?」

 

 この疑問を持っている人の多くは

「暴力団なんて犯罪やっているのは明らかなんだから、問答無用で潰せ」

と言います。

 これが出来ない理由はまさにここにあると思います。

 

 暴力団と同窓会は法的な位置付けでは同種だと思います。

 そのため、同窓会と扱いは同じようにしないと変ですよね。

 この観点で見て行きます。

 

 同窓会のメンバーが犯罪を犯して逮捕された場合、同窓会と言う集まりが解体されますか?

 解体されませんよね?

 犯罪を犯した人だけが逮捕されて終わりですよね?

 

 むしろ、誰かが逮捕されたことで同窓会がどうこうなんて報道されることの方がレアだと思います。

 最低でも私はそんな報道を見た記憶は一度もありません。

 

「□□容疑者は、○○小学校△年卒業同窓会の一員と見られ、警察は同窓会の解体を目指して動いているとのことです。」

なんて聞いたことありますか?

 

 暴力団も同じですね。

 同じ権利なき社団なら扱いは同じですから、暴力団と言う名前の同窓会の一員が犯罪を犯しても、逮捕されるのはその人だけです。

 

 そうなると暴力団と言う名の同窓会そのものが潰されるのは変ですよね。

 

 ただし、同窓会も、同窓会メンバー皆で犯罪計画を打ち出し、集団で犯罪を犯していた場合は話が違います。

 それは法人格がないとは言え、集団として犯罪を行っているわけですからその集まりを潰す必要が出てきます。

 

「もう集まるな!集まらせない!」

となり得ます。

 

 暴力団も同じです。

 組織として犯罪を犯している場合には組織として潰そうとします。

 だから暴力団員が逮捕されると

【組織としての関与】云々

と言う言葉が出て報道されますよね。

 

 重要なのは

【組織として犯した犯罪かどうか?】

と言うことですね。

 

 そのため

「どうせ悪いことをして成り立っている組織だろ」

のような推測・憶測だけで警察も潰すことは出来ません。

 

 ただし、それを前提に疑って動いているから、同窓会と違って組織的関与を視野に動いているんですけどね。

 

 

6、日本は暴力団を本気で解体しようとしている

 中々組織としての暴力団を潰す事は難しい状況は何となく理解できましたか?

 その上で、日本や自治体は暴力団を本気で潰しにかかっていると思います。

 

 その理由が暴対法や排除条例(以下:暴対法等)です。

「暴力団なんて問答無用で潰せ!」

と仰っている方は暴対法等の中身をご存知ですか?

 

 簡単に一言で言うと

「解体しないと普通の人としての生活はさせないからな!」

と言っているような内容になっています。

 

 特に排除条例の方は、その内容があまりに強硬過ぎて、

「憲法違反だ!」

との声が上がるほどです。

 

 それほどまでの強硬法である暴対法等施行から約20年。

(暴対法はもっと長いです)

 

 それでもまだ暴力団は存在しています。

 と言うことは、日本や自治体が法律と言う武器で潰しに掛かっていても、国民が完全に潰しにかかれていないのかと思います。

 

 暴対法等を完全に順守するなら暴力団員であることに何のメリットもありません。

 車も、電話も買えず、ホテル利用や住む場所の確保も出来ないんですからね。

 更に暴力団だと公的機関や公的サービスの利用も出来ません。

 

 普通に全部順守させることが出来ていれば約20年も生きていけません。

 それなのにまだ約4万人も暴力団関係者が存在しています。

 と言うことは、国民側が完全に順守できておらず、サービス提供をしてしまっていると言うことかと思います。

 

 もちろん、暴力団員だと気付かずに提供してしまっているケースもあると思いますが、それにしてもまだまだ多すぎますからね。

 

 

7、最後に

 毎年数千人単位で暴力団関係者は減少していっています。

 このペースで減少していけば10年もしないうちにいなくなると思います。

(このペースで減少し続けると言う部分が難しいと思いますが)

 

 本気で暴力団を潰したいと考えているなら、政府や警察批判をするのではなく、指摘すべきは暴力団を徹底的に潰しに掛かれていない国民の意識の方だと思います。

 

 暴対法等は人権をほぼ無視している内容となっていますので、暴対法等の内容を知らない人からすると

「暴力団関係者だからって理由だけで、こんなことして良いの?私が罪に問われない?」

と心配になるレベルの内容です。

 

 だから、普通にサービスを提供してしまうケースが多いのかと思います。

 もし私の推測が正しいなら、

「暴力団を潰せ!」

と政府や警察に対して主張するのはあまり意味がないと思います。

 

 そうではなく、一般市民に知識を身に付けさせ、暴力団を拒絶した場合の身の安全を確保する方法を提案する方が有意義だと思います。

 

 その方法等を思考せず、安易に政府や警察批判をする人こそ

「本気で暴力団を潰して欲しいとは考えていないのでは?」

と思います。

 

 批判すると言う行為そのものに身の置き場、自分の存在意義を見出しているだけなのかと思います。

 

 このご時世広報は、個人でもできるわけですからね。

 

 

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