元警察本部警察官が教えます!

元警察本部警察官の管理人が警察についてあれこれ書いています。他にも法律、裁判、福祉等についても少々!

警察が雨の日に交通取り締まりをしない3つの理由。

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1、ネットの声

 警察は雨の日は基本的に交通取り締まりをしません。

 これは本当です。

 

 この事に対してネットでは

「警察官も人間だからね」

「何甘えたことやってんだよ。雨の方が危険じゃん!雨の日こそやれ」

のような声を多く見掛けます。

 

 つまり、世間は

「警察官がやりたいくないからやっていない」

「雨の日は大変だからやっていない」

と思っていると言うことですね。

 

 全然違います。

 そもそも雨の日に外で仕事をする程度のことは日常です。

 

 交通事故、街頭犯罪があれば何時間でも雨の中処理をします。

 通報事案がなくても立哨警戒、パトロール等、自主的に雨の中で仕事をしています。

 

 これらは雨どころか台風や大雪、嵐の中でも同じです。

 たかが雨如きで、軽く見られていると言うことですよね。

 

 では何故交通取り締まりは行わないのか?

 

 

2、雨の日に交通取り締まりをしない理由

 理由は大きく3つあります。

 

<危ない>

 最大の理由がこれです。

 そうなんです。

 雨の日に取り締まりをすると危ないんです

 

 この危ないのは運転手だけではなく、警察官側も含めて、どちらも危ないんです。

 

 運転手の多くは取り締まり風景を見掛けると視界をそちらに向けます。

 視界の悪い日に視界をそらさせてしまっては事故を起こし得ます。

 実際に、晴天でも取り締まり風景に目を取られて、取り締まり現場で事故を起こしそうになる運転手さんは必ずいます。

 

 それが雨の日となるとスリップの危険性も高い状態ですので事故に繋がるリスクが高いわけです。

 

 そして視界が悪いので停止役の警察官が轢かれてしまうリスクも高まります。

 運転手がビックリしてハンドルを切ってしまい轢いてしまう可能性もあります。

 

 事故を起こさないため、注意を促すための取り締まりのせいで事故を起こさせてしまうリスクを高める。

 だから基本的に雨の日に取り締まりはしないんです。

 

 

<誤認の可能性が高まる>

 雨の日は視界が悪くなるのは何も運転手だけに限った事ではありません。

 取り締まりをしている警察官も同じです。

 交通取り締まりの基本は目視です。

 

 そのため、誤認によって停止させる割合が高まると思われます。

 現認に自信がない状態で、本当は違反をしていなくても、警察に停められたと言うことでプチパニックになり運転手が認めてしまえば恐らく検挙します。

 

 警察だってこのような誤認での検挙はしたくありません。

 しかし、雨の日に取り締まりをするとそれを増やすリスクが高まるから取り締まりはしないんですね。

 

 

<濡れる>

 これは自分自身が濡れると言う意味ではありません。

 切符が濡れると言う意味です。

 

 切符は交通事故現場専用の防水紙ではないので、濡れると書けなくなります。

 書けなくなれば当然破棄になります。

 

 そのお金は税金です。

「雨の日も取り締まりしろ!この税金泥棒」

と感情だけで言っている人は、

「この税金泥棒!もっと税金を無駄に使え」

と言っているようなモノです。

 

 

3、雨の日に取り締まることもある

 雨の日に取り締まりをしないのは基本的に上記理由からなので、逆を返すと、それらのリスクをほとんど負わない取り締まりは行い得ます。

 

 一番あるのは飲酒運転です。

 飲酒運転の取り締まり方法は検問だけではありません。

 検問では上記リスクのほとんどを負いますが、そうではなく、パトロール中の現認で行います。

 

 警察官は運転が変な車は必ず停止させます。

 左右に揺れている車は特にです。

 それ以外にも見るポイントはありますが、省略します。

 

 ともかく、運転状況から明らかに変な車は飲酒か薬物をしている場合がとても多いので停止させ取り締まります。

 これは雨の日でも行えます。

 切符はパトカー内で作成すれば良いので雨にも濡れません。

 

 あとは取り締まり自体をそもそもそんなに多くやってはいませんが、積載量オーバーの取り締まりも雨の日に行えるモノだと思います。

 ちょっと大がかりな装置が必要なため、私も積載量の取り締まりは2回しか経験はありませんが。

 

 

4、雨の日の過ごし方

<書類作成>

 交番の話ですが、雨の日は基本的に書類を作成して過ごします。

 晴れている日は交番にいると幹部から怒られます。

 

 パトロール、取り締まり、検挙活動、巡回連絡等々、外でやる仕事が幾らでもあるからですね。

 しかし、交番の仕事にはそれ以外にも事件事故の処理もあります。

 

 事件処理を行うと実況見分等の書類を受け持つことになります。

 

 実況見分の作成はある程度作成に慣れた人が作成して

 軽い犯罪で1件30分くらい掛かります。

 空巣等だと1件1時間~ くらい掛かります。

 

 先程も言ったように晴れの日はこれらの書類を作成できません。

 交番にいると怒られるためです。

 だから雨の日にここぞとばかりに溜まった書類を作成するわけです。

 

 

<捜査を進めるために重要>

 この実況見分の作成が終わり、刑事課に引き継がない限り事件の捜査は一切動きません。

 つまり、交番の警察官が交番にいる時間が少なければ少ないほど、身近な犯罪の捜査は滞ると言うことです。

 

 警察官が交番にいてパトロールをしているように見えないことを批判する人もいますが、警察官が交番にいることは事件解決に直結するレベルで大切なことなんです。

 

「警察は事件の動きが遅い」

と言われますが、このような事情もあるんですね。

 そのため、重罪じゃなく交番が初動捜査を扱うような事件では雨の日が続いた方が警察は早く動き得ます。

 

 

<休憩>

 そして警察官が作成する書類は司法書類です。

 誤字脱字は認められないくらい大変な書類です。

 休憩をしないでそれと何時間も向き合い続けるのは無理です。

 

 当然合間に休憩もします。

 その時の姿を見て

「あの交番は暇そうにしている。仕事をしていない」

と言う人もいます。

 

 そこで誤字脱字があるまま引き継いでしまったら、その訂正のために捜査が停止することだってあり得ます。

 キチンと正確に、しかし迅速に書類を作成することが事件捜査には重要なわけですね。

 

 

5、最後に

 ここまで警察事情を言ってきましたが、世間の受け止め方のように

【怠けて仕事をしていない警察官】

 これが存在していることも事実です。

 

 事件書類を自分では一切受け持たないように逃げている警察官は当然、雨の日にやることがありません。

 そのような警察官がいる交番では相棒の警察官が書類地獄なんですけどね。

 

 ちなみに、交通取り締まりで世間から疑問に思われている隠れて取り締まりをしていることについて興味がある貴方はこちらをどうぞ。

 

www.policefuta.work

 

 

 

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